友川カズキ『どこへ出しても恥かしい人』

ドキュメンタリー映画 『どこへ出しても恥かしい人』

友川カズキ

途方に暮れながら、生きる

2020年2月1日(土)より
新宿ケイズシネマにて公開
以降、全国劇場にて順次公開

予告編

最新
情報

吉岡宿にしぴりかの映画祭2022にて上映

日本映画専門チャンネルにて放送

【配信企画】『どこへ出しても恥かしい人』alternative tracks 友川カズキ登米公演 「出鱈目な夜」at CAFE GATI, 2010

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作品
情報

ちあきなおみ、大島渚、中上健次らを魅了し、
いまもなお歌手、画家、詩人としてカルト的人気を誇るアーティスト、友川カズキ。
その競輪に狂う日々を記録したドキュメンタリー。

ミュージシャン、画家、詩人としてカルト的人気を誇る友川カズキ。1974年 にレコードデビュー、代表曲に「生きてるって言ってみろ」、ちあきなおみに提供(作詞作曲)した「夜へ急ぐ人」などがある。画家としても活動を始め、1985年に初の個展を開催。その多彩な表現活動は、中上健次(作家)、大島渚(映画監督)ら多数の芸術家、文化人から惜しみない賛辞を浴びた。本作は、異形のアーティスト、友川カズキの2010年夏の記録を収めたドキュメンタリーだ。

一部では高く評価されながらも、広く大衆に受け入れられることはなく、川崎の小さなアパートで今も粛々と暮らしている友川。20年来、どっぷりのめり込んでいるのが競輪で、3年ぶりに会う大学生の四男までも競輪場に連れ出し指南するほどのハマりっぷり。本人は「競輪が病気なら、生涯治らないでほしい」と豪語する。いくら負けても大穴狙いで、競輪仲間には滅多に当たらないとも言われている。それでも、今日もまた一日の大半の時間を競輪場に出向くか、あるいは家でのレース予想に割いている。映画はその生活の一部始終をカメラに捉えていく。部屋のTVの前で、競輪場で、車券を握りしめて叫ぶ姿、近所の公園の噴水で水浴びをする姿、そして絵を描き、ライブで歌う姿……この現代にあって奇跡的ともいえる無頼詩人・友川カズキの慎ましくさえ見える日常の中で、もはやギャンブルや音楽というジャンルに収まりきらないほどの熱量が表出する。またこの映画の為に、石塚俊明、永畑雅人らと車中で演奏したシーンも見どころのひとつだ。

そして、冒頭から競輪の予想を外し続ける友川は果たして劇中で万車券を手にすることができるのか。その悲喜こもごもの顛末や如何に!?

『どこへ出しても恥かしい人』キャプチャ - 01
『どこへ出しても恥かしい人』キャプチャ - 02
『どこへ出しても恥かしい人』キャプチャ - 03
『どこへ出しても恥かしい人』キャプチャ - 04

推薦文

「詩人・歌手・画家・競輪愛好家・エッセイスト・俳優・酒豪・表現者」と友川カズキの略歴は始まっています。ご自身の感覚としてこの順番になるのか、もしかしたら(めったに当たらない)競輪愛好家と酒豪というのが、もっと前に来るのかもしれないと、このドキュメンタリーを見た人は思うでしょうか。

友川カズキは1950年に秋田県の日本海側にある八竜村に生まれました。ほとんど同じ時期に、その北隣の青森県北津軽郡小泊村では三上寛が生まれています。中学校時代に偶然出会った中原中也の詩『骨』に衝撃を受けて詩作を開始しますが、ファーストアルバム『やっと一枚目』が出たのは1975年。三上寛はその4年前に衝撃的なデビューを果たしていて、70年代初頭のフォーク・ブーム絶頂期からすると、友川さんのデビューはちょっと遅いタイミング。時代としては井上陽水がデビューしたり、吉田拓郎が歌謡曲路線でヒット曲をつくったりと、業界のトレンドがフォークからニューミュージックに移行する時期でした。

いま振り返ってみると、1950年前後に生まれたフォーク歌手はすごく多いけれど、友川さんはその最初期から、フォーク絶頂期と微妙にずれたところで、微妙に孤独な立ち位置にいた気がします。そうしてその「ずれ」が、もうすぐ歌手生活50年になるいまも続いている気がします。

「歌は世につれ世は歌につれという。サルトルは、作家は時代を抱きしめなければならないといった。表現する者はどこかで世の中と寝なければならないのだ。だが、友川は一度も世の中と寝たことがない」と評したのは大島渚でした。

三上寛をはじめ、当時からいまも活動を続けるフォーク・シンガーは何人もいます。でも自分より40歳、50歳年下の若い層から寄せられる共感度、共振度においては、友川さんが抜きん出た存在でしょう。映像に捉えられたライブのフロアからも、友川さんを献身的に支えるスタッフたちを見てもそれが伝わってきます。

それは、おのれが抱える「ずれ」を世間に、時代にあわせることをしない、むしろ「ずれ」を糧に冷ややかな世界に立ち向かい続ける、その生の強度にだれしもが感応するからでしょうか。老いたもの、若すぎたもの、なにかを忘れ、失い、傷ついたものたちすべてにとっての止血剤として。

都築響一(編集者)

プロフィール

友川カズキ

友川カズキ

1950年秋田県生まれ。1974年のレコードデビュー以後、計30作を超える作品を発表。代表曲に「生きてるって言ってみろ」、ちあきなおみに提供(作詞作曲)した「夜へ急ぐ人」などがある。執筆活動や画家活動も並行して行い、80年代以降は絵画個展も多数開催。2010年、フランス人映像作家・ヴィンセント・ムーン監督によるドキュメンタリー映画『花々の過失』が国内公開された。2018年6月には2000年代PSFレーベル時代の音源を集めたベスト盤「先行一車」をリリース。そして2019年6月には、これまでのエッセイ・詩などをまとめた『一人盆踊り』(ちくま文庫)を上梓し、各方面で話題を呼ぶ。そして齢69にして、ますます進化し深化する「表現者」として旺盛なライブ活動を今日まで続けている。

友川カズキ 友川カズキ公式サイト

監督のことば

初めて友川カズキのライブを観たとき、まるでグリコ森永事件の犯人のようだと思った。そんな友川さんにグリコ森永事件のナビゲートを依頼したのが始まりだった。結局、その企画はなくなり、友川さん自身のドキュメンタリーを撮ることになった。
撮影は難航した。友川さんは自分の世界にひきこもるアナグマのように見えた。友川さんをそこから引きずり出そうとしたが、友川さんのギラッとした眼で見返されると、臆病な僕は怖気づき、軽く怒らせるぐらいが関の山だった。有能なスタッフに恵まれながら、素材をうまくまとめられず、ただただ自分に絶望していた。この素材と鬱が僕の中で混ざり合い、もはや鬱そのものであった。この素材のせいで、僕はこの10年間一歩も進めなかった。

そんな折、友川さんが大阪に来ていることを知り、ライブを見ることにした。この映画のことをすっかり忘れながらも、何も変わらない友川さんの姿を見て、
「あ、進歩ってしなくてもいいんだ」
と気づいた。

進むのはやめた。人生を遊ぼう。
人生はかるい悲劇だ。

佐々木育野(ささき・いくや)

1980年12月9日、岩手県宮古市で生まれる。大学在学中から自主映画の制作を始め、東京で映像制作の仕事に携わった後、長野県御嶽山、瀬戸内の島など国内を転々としながら、様々な職業に従事。現在は大阪在住。山小屋業務をまとめた映像作品『或る山』は第2回恵比寿映像祭にて上映。

『どこへ出しても恥かしい人』

2019年/日本/DCP/5.1ch/64分

監督:佐々木育野
撮影:高木風太 録音:松野泉 車輛:西村立志
編集:宮本杜朗、松野泉、佐々木育野 宣伝美術:境 隆太
プロデューサー:酒井力、田中誠一 製作:志摩敏樹

友川カズキ
石塚俊明 永畑雅人
及位鋭門 及位然斗 及位玲何
大関直樹 安部俊彦 林 秀宣 六兵衛鮨 菊池 豊 万里伊さん

製作・配給:シマフィルム株式会社

使用曲
(特に記載ないものは「唄:友川カズキ」)

  • 「夢のラップもういっちょう」作詞・作曲:友川カズキ
  • 「花あそび」作詞・作曲:友川カズキ
  • 「思惑の奴隷」作詞・作曲:遠藤ミチロウ
  • 「祭りの花を買いに行く」作詞・作曲:友川カズキ/唄:ちあきなおみ 
  • 「どこへ出しても恥かしい人」作詞:友川カズキ/作曲:アメリカ民謡
  • 「先行一車」作詞・作曲:友川カズキ
  • 「シシャモ」作詞・作曲:友川カズキ
  • 「生きてるって言ってみろ」作詞・作曲:友川カズキ
  • 「乱れドンパン節」作詞:友川カズキ/作曲:秋田民謡
  • 「ワルツ」作詞・作曲:友川カズキ
  • 「馬の耳に万車券」作詞・作曲:友川カズキ
『どこへ出しても恥かしい人』キャプチャ - 05
『どこへ出しても恥かしい人』キャプチャ - 06
『どこへ出しても恥かしい人』キャプチャ - 07
『どこへ出しても恥かしい人』キャプチャ - 08

劇場
情報

東京

下高井戸シネマ【終了】

2021/3/6(土)〜3/10(水)*5日間限定

秋田県大館市

御成座【終了】

2021/1/29(金)~ 2/7(日)*2/3休映

新潟県高田市

高田世界館【終了】

2020/11/14(土)〜11/20(金)*1週間限定上映 *11/14(土)10:30の回、佐々木育野監督トークショーあり

兵庫

元町映画館【終了】

12/5(土)-12/11(金)連日20:10〜 *1週間限定上映

大阪

シネ・ヌーヴォX【アンコール】【終了】

2020/10/3(土)〜10/16(金)*シネ・ヌーヴォXにて上映

埼玉

川越スカラ座【終了】

2020/9/19(土)〜10/2(金)*火、水曜は定休

新潟

シネ・ウインド【終了】

2020/9/19(土)~9/25(金)

北海道・札幌

シアターキノ【終了】

2020/9/11(金)*KINOフライデーシネマにて上映

京都

出町座【終了】

2020/8/21(金)〜9/3(木)*8/28(金)〜8/30(日)休映

広島

呉ポポロシアター【終了】

2020/7/24(金)〜8/6(木)予定

大阪

シネ・ヌーヴォ【終了】

2020/7/18(土)〜7/31(金)*シネ・ヌーヴォXにて上映 *7/18(土)佐々木育野監督舞台挨拶あり

東京

K’s cinema【再々映】【終了】

2020/7/4(土)〜7/10(金)連日20:00〜

広島

横川シネマ【終了】

2020/7/1(水)〜7/21(火)*7/5(日)佐々木育野監督舞台挨拶あり

富山

ほとり座【終了】

2020/6/27(土)~7/3(金)

石川

シネモンド【終了】

2020/6/27(土)〜7/3(金)

東京

【中止】【映画上映&ライブイベント】どこへ出しても恥かしい人 YUMESAKURA 満開の季

2020/4/16(木)*『どこへ出しても恥かしい人』上映&友川カズキライブ(ゲスト・永畑雅人)

東京

K’s cinema【再映】【終了】

2020/3/14(土)〜3/20(金)連日13:00〜

京都
神奈川

横浜シネマリン【終了】

2020/6/1(月)〜6/12(金)、6/20(土)~6/26(金)

名古屋

名古屋シネマテーク【終了】

2020/3/7(土)〜3/20(金)

東京

K’s cinema【終了】

2020/2/1(土)〜2/28(金)